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2026.10.09

【2026年最新版】居抜きで店舗・飲食店が売れなかった事例30選|買主が決まっても白紙になる理由と失敗を防ぐ方法|居抜きの達人(運営:(株)愛知不動産売却センター)

「買主が見つかったのに、結局売れなかった。」

飲食店や店舗の居抜き売却では、このようなことが実際に起こります。

居抜き売却というと、売主様の多くは「購入希望者さえ見つかれば売却できる」と考えます。

しかし、店舗の居抜き売却は一般的な中古品の売買とは違います。

買主が見つかり、造作譲渡価格に合意しても、大家の承諾、新しい賃貸借契約、保証会社の審査、融資、開業準備など、さまざまな条件をクリアしなければなりません。

その途中で一つでも問題が発生すると、せっかくまとまりかけた居抜き売却が白紙になることがあります。

そして、売主様にとって最も怖いのが、買主を待っている間に退去期限が迫ってしまうことです。

最終的に売却できなければ、数百万円の原状回復費を支払って店舗を返還しなければならない場合もあります。

今回は、名古屋市を中心に飲食店・店舗の居抜き売却を手掛ける「居抜きの達人」が、実務で注意したい不成約パターン30選を前編・後編に分けて解説します。

※本記事は、実際の相談・取引で問題となる類型をもとに整理した解説です。すべてが当社で発生した個別の実例という意味ではなく、複数の事情を一般化した想定事例も含みます。

第1章|大家・管理会社の問題で居抜き売却が白紙になるケース

事例1|大家から次の業態を断られた

居抜き売却で比較的多いトラブルが、大家による業態の不承諾です。

例えば、現在は居酒屋として営業している店舗を、焼肉店の開業希望者へ売却しようとしたケース。

売主と買主の間では300万円で条件がまとまりました。

ところが大家から、

「焼肉店は煙や臭いが出るので認められません」

と回答され、売却は白紙になりました。

飲食店が入っている物件だからといって、すべての飲食業態が認められるわけではありません。

焼肉、焼き鳥、ラーメン、中華料理などは、排気・臭気・油煙の問題から制限される場合があります。

対策:募集前に大家・管理会社へ受け入れ可能な業態を確認すること。

特に重飲食や深夜営業を伴う業態は、早い段階で確認する必要があります。

事例2|管理会社の対応が遅すぎて買主が断念

これは居抜き売却において非常につらいケースです。

買主が見つかった。

価格も合意した。

早速、管理会社へ連絡して入居審査を依頼した。

ところが、その後まったく話が進まない。

電話しても折り返しがない。

メールを送っても返事がない。

気付けば1か月、2か月と時間が過ぎてしまいます。

最初は開業に前向きだった買主も、

「こんなに時間がかかるなら、もういいです」

と購入を断念。

売主は退去期限を迎え、原状回復することになってしまいました。

買主が見つかっても、手続きが進まなければ売却できません。

対策として、申込み前に審査の窓口、必要書類、回答目安を確認し、進捗を記録することが重要です。

また、回答が遅れている間も、退去期限と原状回復工事の準備を管理しなければなりません。

事例3|大家が突然、賃貸条件を変更した

売主が営業していたときの家賃は月額20万円。

買主もその条件を前提に、造作譲渡価格400万円で購入を希望していました。

しかし新しい賃貸借契約の話になった途端、大家から、

「次の借主は家賃25万円です」

と条件変更の提示がありました。

月額5万円の増額。

年間では60万円。

5年間では300万円もの差になります。

買主は事業計画を見直した結果、購入を断念しました。

ほかにも、保証金の増額、礼金の追加、定期借家契約への変更などが原因になることがあります。

対策:居抜き価格だけでなく、新規賃貸条件を早めに確認すること。

既存テナントの条件が、そのまま新しい借主へ引き継がれるとは限りません。

事例4|大家が新しい借主との契約を認めなかった

売主と買主が合意していても、大家が新しい借主との賃貸借契約に応じなければ、通常はそのまま店舗を引き継ぐことができません。

例えば、大家が今後の建物利用を見直していたケース。

「次は飲食店ではなく事務所にしたい」

「今後はテナントを募集しない」

という方針が示され、居抜き売却が成立しなかったとします。

売主が造作を所有していても、次の買主が物件を借りられなければ取引は難しくなります。

対策:募集開始前に、次のテナントを受け入れる意向があるか確認すること。

ただし、大家の事前の意向確認だけで最終承諾が保証されるわけではありません。

事例5|管理会社と大家の認識が違っていた

管理会社から、

「その業態なら大丈夫だと思います」

と聞いていたため、買主募集を開始。

購入希望者も見つかり、価格も合意しました。

しかし最終確認の段階で大家から、

「その業態は認めていません」

という回答が出てしまいました。

管理会社の説明と大家の判断が一致していなかったケースです。

ここで注意したいのは、担当者の口頭説明と正式な承諾は別ということ。

対策として、業態、営業時間、設備工事、看板、臭気・騒音対策など、重要な条件はできるだけ書面やメールで確認しておくことをおすすめします。

第2章|融資・保証会社・信用面の問題で不成約になるケース

事例6|買主が金融機関の融資審査に落ちた

居抜き売却価格500万円。

買主も購入を希望し、売主と条件がまとまりました。

しかし買主は、自己資金だけでは開業資金が足りず、金融機関の融資を予定していました。

ところが審査結果は否決。

造作代金に加えて、保証金、内装費、仕入れ、運転資金まで用意することが難しくなり、出店を断念しました。

このケースは、売主から見ると非常に残念です。

「買います」と言っていた人が、実際には資金を用意できなかったということだからです。

対策は、購入希望者の資金計画を早い段階で確認すること。

自己資金はいくらあるのか。

融資を利用する予定なのか。

融資が否決された場合はどうするのか。

確認した上で、契約条件や期限を整理する必要があります。

事例7|保証会社の審査に落ちた

買主は造作代金を支払えるだけの資金を持っていました。

売主との価格交渉もまとまっています。

ところが、賃貸借契約に必要な家賃保証会社の審査に通りませんでした。

結果、新しい賃貸借契約を締結できず、居抜き売却も不成立に。

これは、造作を買える資金があることと、物件を借りられることは別という典型例です。

保証会社は、申込者の収入、事業内容、支払能力、信用情報などを各社の基準で審査します。

審査基準や否決理由が詳しく開示されないこともあります。

対策として、保証会社利用の有無や必要書類を早めに確認し、審査結果が出る前に売却完了と判断しないことが大切です。

事例8|買主の過去の犯罪歴が審査上の問題になった

購入希望者との価格交渉は順調でした。

しかし審査の過程で、買主の過去の犯罪歴に関する情報が問題となり、貸主側との契約が成立しなかったケースを想定します。

ここで注意したいのは、前科があるという事実だけで、当然に店舗を借りられないわけではないという点です。

犯罪の内容、時期、現在の状況、業態、契約条件などによって事情は異なります。

また、本人のプライバシーに関わる情報を、仲介業者が不必要に収集したり、第三者へ広めたりすることも避けなければなりません。

対策は、審査に必要な情報を適切に取り扱い、貸主・保証会社の正規の審査手続きを進めることです。

事例9|反社会的勢力との関係が判明した

買主との条件交渉が進んでいたものの、契約前の確認で反社会的勢力との関係が判明し、取引を進められなくなったケースです。

不動産取引では、反社会的勢力との関係を排除するための確認や契約条項が重要になります。

特に飲食店では、営業形態や店舗の使用者が契約時の説明と異なると、重大なトラブルにつながる可能性があります。

対策として、本人確認、法人確認、実際の営業主体の確認、反社会的勢力排除条項などを適切に整備することが重要です。

疑わしいというだけで断定せず、事実確認と専門家への相談を通じて慎重に対応する必要があります。

事例10|買主の自己資金が想定より不足していた

買主は、

「造作代金300万円なら買えます」

と話していました。

しかし、詳しく資金計画を確認すると、

保証金。

前家賃。

仲介手数料。

保証会社費用。

内装工事費。

厨房設備の追加費用。

仕入れ資金。

運転資金。

などが十分に計算されていませんでした。

結果、開業に必要な総額が想定を大きく上回り、購入を断念しました。

居抜き価格300万円の店舗でも、開業資金が300万円で済むとは限りません。

対策:造作代金だけでなく、開業までの総費用を確認すること。

売主側も、購入希望者の資金計画が現実的かを見極めることが大切です。

第3章|買主の心変わり・家庭事情で白紙になるケース

事例11|申込み後にもっと良い物件が見つかった

購入希望者が現れ、造作譲渡価格350万円で条件合意。

しかし、その後買主から、

「別の場所で、もっと条件の良い店舗が見つかりました」

と連絡がありました。

新しい物件は家賃が安く、駅にも近い。

買主はそちらへ出店することを決め、当初の居抜き売却はキャンセルとなりました。

店舗探しをしている方は、複数の物件を比較していることがあります。

口頭で「買います」と言われても、契約が成立するまでは安心できません。

対策として、申込み後は速やかに条件を整理し、契約までのスケジュールを明確にすることが重要です。

なお、キャンセル時の責任や金銭の取扱いは、契約の成立状況や合意内容によって異なります。

事例12|家族の同意が得られなかった

買主本人は、居酒屋の開業に強い意欲を持っていました。

店舗も気に入り、造作代金400万円で購入を希望。

しかし、自宅で家族に相談したところ、

「そんな大きな借金をして大丈夫なの?」

「今の仕事を辞めてまで飲食店をやる必要があるの?」

と反対されてしまいました。

何度も話し合った結果、開業を断念。

居抜き売却も白紙となりました。

特に初めて飲食店を開業する方は、家族の理解が重要になることがあります。

対策:大きな契約を進める前に、家族との相談状況を確認すること。

本人に購入意思があっても、最終的な決断ができる状態とは限りません。

事例13|買主が病気になり開業できなくなった

買主との条件がまとまり、開業準備が進んでいました。

ところが、買主本人が病気になってしまい、店舗経営を始められなくなりました。

飲食店は体力的な負担も大きい仕事です。

特に個人経営の場合、経営者本人が厨房や接客に立つ予定であれば、健康状態によって開業計画そのものが変わります。

病気は誰にでも起こり得ることです。

売主としては残念ですが、無理に契約を進められる問題ではありません。

対策として、売主は買主の事情に配慮しながらも、契約条件と退去期限を確認し、必要に応じて次の募集へ切り替える判断が必要です。

事例14|現在の勤務先を辞められなかった

買主は会社員で、独立してラーメン店を開業する予定でした。

希望する店舗も見つかり、売主との条件も合意。

しかし勤務先へ退職の意思を伝えたところ、引継ぎや人員不足などの事情で予定どおり退職できないことになりました。

開業予定日を延期する必要が生じ、最終的に購入を断念しました。

飲食店開業では、

退職時期。

店舗契約。

内装工事。

開業日。

を合わせる必要があります。

対策:買主が会社員の場合、退職時期や開業可能時期を早めに確認すること。

ただし、勤務先との関係は買主本人の事情であり、売主側が退職を強要することはできません。

事例15|共同経営者と意見が対立した

友人同士で居酒屋を開業する予定だった買主。

物件を気に入り、造作代金450万円で購入する方向になりました。

しかし契約前になって、

「どちらが代表者になるのか」

「出資割合はどうするのか」

「利益はどう分けるのか」

「誰が現場を運営するのか」

といった問題で意見が対立。

最終的に共同経営の話そのものがなくなり、居抜き売却も不成立となりました。

共同経営の場合、購入希望者が複数いても、意思決定が一つにまとまっているとは限りません。

対策として、契約主体、資金負担者、最終決定権者を明確にしてから進めることが重要です。

第4章|前編15事例から分かる、居抜き売却の落とし穴

今回ご紹介した15事例には、一つの共通点があります。

それは、店舗そのものに価値があっても、売却が成立するとは限らないということです。

立地が良い。

内装がきれい。

厨房設備が充実している。

買主が見つかった。

価格も合意した。

それでも、大家の承諾が得られなければ売却できない場合があります。

保証会社の審査に落ちれば、賃貸借契約が成立しないことがあります。

買主が融資を受けられなければ、資金を用意できません。

家族の反対や病気、退職の問題によって開業計画がなくなることもあります。

そして、管理会社とのやり取りに時間がかかれば、買主の購入意欲が薄れてしまうこともあります。

最も怖いのは「売却できなかった後の原状回復」

例えば、居抜き売却価格300万円で買主と合意していた店舗があったとします。

しかし最終的に契約が成立せず、原状回復費250万円を支払って退去することになった場合。

単純比較では、

居抜き売却が成立:+300万円

原状回復して退去:-250万円

経済的な差:最大550万円

となります。

※これは説明用の仮定であり、実際の手取り額や損失額ではありません。仲介費用、契約条件、保証金精算、リース残債などによって変動します。

このように、居抜き売却の成否によって売主様の経済的な負担は大きく変わります。

だからこそ、居抜き売却では**「買主を見つけること」と同じくらい、「最後まで契約を成立させること」**が重要なのです。

第5章|不成約を防ぐために売主ができること

不成約リスクを完全になくすことはできません。

しかし、事前の準備によって防げるトラブルもあります。

まず重要なのが、解約通知を出す前に居抜き売却の可能性を確認することです。

退去期限が決まってから募集を始めると、審査や契約に時間がかかった場合に対応できなくなることがあります。

次に、大家・管理会社への事前確認です。

新しい借主を受け入れる意向はあるか。

認められる業態は何か。

営業時間の制限はあるか。

家賃や保証金は変更されるか。

審査にはどれくらい時間がかかるか。

これらを確認しておくことで、買主が見つかった後のトラブルを減らせます。

そして買主については、資金計画、開業時期、契約主体、融資の必要性などを確認することが大切です。

最後に忘れてはいけないのが、原状回復の準備を完全に止めないことです。

居抜き売却が成立する見込みであっても、賃貸借契約が確定するまでは不成約の可能性が残ります。

退去期限、原状回復工事に必要な日数、工事業者の手配なども並行して管理する必要があります。

まとめ|居抜き売却は「買主が決まった」だけでは安心できない

今回は、飲食店・店舗の居抜き売却が成立しなかった15のパターンをご紹介しました。

居抜き売却では、買主が見つかることは大きな前進です。

しかし、それはゴールではありません。

大家の承諾。

業態確認。

保証会社の審査。

融資。

買主の資金計画。

賃貸借契約。

造作譲渡契約。

そして店舗の引渡し。

これらを無事に進めて、初めて居抜き売却が完了します。

「買主が見つかったから、もう原状回復しなくていい」

そう考えるのは危険です。

実際には、買主が見つかっても最後に白紙になることがあります。

特に退去期限が迫っている店舗では、一度の不成約が数百万円の原状回復費につながる可能性があります。

名古屋市で飲食店や店舗の売却を考えている方は、できるだけ早く、居抜き売却に詳しい不動産会社へ相談してください。

後編では、残り15事例を紹介します。

「買主が突然連絡を絶った」「契約直前に値下げを要求された」「厨房設備に問題が見つかった」「消防・排気設備の問題で開業できなかった」など、さらに実務的な不成約トラブルを詳しく解説します。
【2026年最新版】居抜きで店舗・飲食店が売れなかった事例30選|買主が決まっても白紙になる理由と失敗を防ぐ方法【後編・16〜30】|居抜きの達人

「あと少しで契約だったのに、結局売れなかった。」

飲食店・店舗の居抜き売却では、こうした残念な結果になることがあります。

前編では、大家による業態の不承諾、管理会社の対応遅延、保証会社の審査否決、融資の問題、買主の家庭事情など、15の不成約パターンをご紹介しました。

しかし、居抜き売却のトラブルはそれだけではありません。

買主が突然連絡を絶つ。

契約直前に大幅な値下げを要求する。

厨房設備の不具合が見つかる。

消防設備や排気ダクトの問題が発覚する。

そして、売主の退去期限が迫り、買主との交渉を続けられなくなる。

こうした問題によって、売却できるはずだった店舗が最終的に原状回復となるケースもあります。

今回は、名古屋市を中心に飲食店・店舗の居抜き売却を手掛ける「居抜きの達人」が、不成約事例30選の後編として16〜30の15パターンを解説します。

※本記事は、実務上起こり得る不成約の類型を整理したもので、当社の実際の相談・取引で問題となる事情に加え、一般化した想定事例も含みます。記載した金額は説明用の例示であり、すべてが当社の実成約・不成約実績を示すものではありません。

第6章|買主の突然のキャンセル・価格交渉による不成約

事例16|買主が突然連絡を絶ってしまった

居抜き売却価格350万円。

内覧した買主は店舗を気に入り、購入する意思を示しました。

売主も条件に納得し、契約に向けて準備を開始。

ところが、ある日を境に買主と連絡が取れなくなりました。

電話に出ない。

メールに返信がない。

必要書類も提出されない。

結果として契約手続きを進められず、売却は白紙になりました。

飲食店の開業希望者の中には、開業への気持ちは強くても、実際の資金負担や経営リスクを考え始めると不安になる方もいます。

もちろん、連絡が途絶えた理由はさまざまであり、推測だけで決めつけることはできません。

重要なのは、口頭の購入意思だけで売却が確定したと判断しないことです。

対策として、申込書の提出、必要書類の確認、契約予定日の設定など、具体的な手続きを早めに進めることが大切です。

事例17|契約直前に大幅な値下げを要求された

売主の希望価格は500万円。

買主との交渉を重ね、450万円で合意しました。

ところが契約直前になって買主から、

「やっぱり300万円でなければ買えません」

という連絡が入りました。

売主はすでに450万円で売却できるものと思い、閉店準備を進めています。

しかし突然150万円もの減額を要求され、条件がまとまらなくなりました。

居抜き売却では、契約直前の値下げ交渉が大きな問題になることがあります。

特に売主の退去期限が迫っている場合、買主が有利な立場になりやすいこともあります。

対策は、価格・支払時期・引渡条件などを早期に書面化すること。

ただし、条件を書面で整理しただけで、必ず契約が成立するわけではありません。

交渉が長引いた場合に備え、退去期限と原状回復費を把握しておくことも重要です。

事例18|買主が別の物件へ申し込んでいた

買主は店舗を気に入り、

「ぜひ購入したいです」

と話していました。

しかし実際には、別の店舗にも同時に申込みをしていました。

その後、別物件の条件がまとまり、そちらで開業することに。

売主は購入意思があると聞いていたため、ほかの問い合わせへの対応を控えていました。

結果として貴重な募集期間を失い、居抜き売却が不成立となりました。

店舗を探す方が複数物件を比較すること自体は自然なことです。

問題は、購入意思の確度を見誤ることです。

申込みがあった段階でも、契約の成立状況を確認しながら、ほかの候補者への対応方針を慎重に判断する必要があります。

事例19|買主が開業費用を計算し直して断念

居抜き売却価格400万円。

買主は当初、既存設備を利用して少ない改装費で開業できると考えていました。

しかし内装業者と現地を確認すると、希望する業態に合わせるためには想定以上の工事費が必要だと判明。

厨房の変更。

客席の改装。

電気工事。

給排水工事。

看板工事。

結果、総開業資金が大きく膨らみ、購入を断念しました。

居抜き店舗は、スケルトンから作るより安く開業できる可能性があります。

しかし、居抜きだから必ず安く開業できるわけではありません。

対策として、買主には申込み前後の早い段階で内装業者との現地確認を行ってもらうことが重要です。

事例20|買主の共同出資者が資金を出さなくなった

友人と共同で居酒屋を開業する予定だった買主。

造作代金300万円についても合意していました。

しかし、開業資金の一部を負担する予定だった共同出資者が、契約直前になって出資を取りやめました。

その結果、買主本人だけでは資金を用意できず、売却は白紙になりました。

共同経営では、代表者と実際の資金負担者が異なる場合があります。

誰が購入資金を用意するのか。

出資は確定しているのか。

最終的な契約主体は誰なのか。

これらを確認しておくことが重要です。

第7章|厨房設備・排気・消防など建物の問題で売れなかったケース

事例21|厨房設備に重大な不具合が見つかった

買主は、既存厨房設備を利用して居酒屋を開業する予定でした。

ところが引渡し前の確認で、業務用冷蔵庫や空調設備に不具合が見つかりました。

買主は設備が使用できることを前提に購入価格を検討していたため、修理・交換費用を含めると予算を超えてしまいました。

売主と修理費用の負担について協議しましたが、条件がまとまらず不成約となりました。

居抜き売却では、厨房機器の状態が価格に大きく影響します。

特に、

冷蔵庫。

製氷機。

食器洗浄機。

空調。

給湯器。

などは、開業後すぐに必要となる設備です。

対策:募集前に主要設備の状態を確認し、不具合があれば正確に伝えること。

契約不適合責任を制限する特約を設ける場合でも、把握している不具合を隠してよいわけではありません。

事例22|排気ダクトの問題で希望業態ができなかった

現在はカフェとして営業している店舗。

次の買主は焼き鳥店を開業する予定でした。

しかし現地調査を行ったところ、既存の排気設備では焼き鳥店に必要な排気量や煙への対応が難しいことが分かりました。

さらに屋上までダクトを延長する工事について、建物側の承諾が得られませんでした。

結果、買主は出店を断念。

居抜き売却は不成立となりました。

飲食店の居抜き売却では、排気設備が非常に重要です。

特に焼肉、焼き鳥、中華料理、ラーメンなどでは、既存設備をそのまま利用できるとは限りません。

対策として、買主の希望業態に必要な排気設備と、建物側で認められる工事内容を早めに確認することが重要です。

事例23|消防設備の問題で追加工事が必要になった

買主は既存の居酒屋を利用して、新しい飲食店を開業する予定でした。

しかし消防設備について確認したところ、予定するレイアウトや用途、収容人員などに応じて追加の対応が必要になることが判明しました。

設備工事の費用が想定を超え、買主は出店を断念しました。

飲食店では、建物全体の用途、面積、階数、収容人員、既存設備などによって必要な消防上の対応が異なります。

前の店舗が営業できていたからといって、新しい店舗も何も変更せずに営業できるとは限りません。

対策:改装計画を具体化した段階で、消防設備業者や所轄消防署に確認すること。

事例24|電気・ガス容量が足りなかった

買主は、ラーメン店を開業するために居抜き店舗を購入しようとしていました。

しかし厨房設備の計画を進めると、既存の電気容量やガス供給能力では不足することが分かりました。

設備の増設には追加工事が必要です。

建物側の制約によって希望する増設が難しい場合もあります。

結果、買主は出店計画を見直し、購入を断念しました。

居抜き店舗では、

「前の店が飲食店だったから大丈夫」

と思いがちです。

しかし業態によって必要な設備容量は異なります。

対策:厨房機器の仕様が分かった段階で、電気・ガス・給排水の能力を確認すること。

事例25|雨漏りや漏水が見つかり買主が断念

内覧時には大きな問題がないように見えた店舗。

しかし契約前の確認で、天井付近に雨漏りの跡が見つかりました。

売主や管理会社へ確認したところ、過去にも漏水が発生していたことが分かりました。

買主は、

「開業後に厨房や内装へ被害が出たら困る」

と不安を感じ、購入を断念しました。

雨漏りや漏水は、飲食店の営業に大きな影響を与える可能性があります。

内装だけでなく、厨房機器、電気設備、商品などへの被害も考えられます。

対策として、過去の雨漏りや設備不具合など、把握している重要な情報は事前に説明し、必要に応じて専門業者による確認を行うことが大切です。

第8章|退去期限・契約条件の問題で売れなかったケース

事例26|退去期限が迫り、審査結果を待てなかった

売主はすでに解約通知を提出しており、退去日まで残り1か月。

そこへ購入希望者が現れました。

価格も合意。

しかし新しい借主の審査や契約手続きには時間が必要でした。

売主は退去期限を延長できず、最終的に居抜き売却を断念。

原状回復工事を行って退去することになりました。

これは、もっと早く募集を開始していれば違う結果になった可能性があるケースです。

居抜き売却には、買主探しだけでなく、審査や契約に必要な時間もあります。

可能であれば、解約通知を出す前から売却の相談を始めることをおすすめします。

事例27|造作譲渡と賃貸借契約の日程が合わなかった

売主は月末に退去予定。

買主は翌月から新しい賃貸借契約を締結する予定でした。

しかし、貸主側の契約準備が間に合わず、買主が希望する日程で引渡しできなくなりました。

買主は開業予定日を変更できず、最終的に購入を断念しました。

居抜き売却では、

造作譲渡契約。

代金決済。

既存賃貸借契約の終了。

新規賃貸借契約の開始。

鍵の引渡し。

これらのタイミングを整理する必要があります。

対策:売主・買主・貸主・管理会社の間で、契約と引渡しの日程を早期に共有すること。

事例28|リース設備の所有権問題が発覚した

買主は、店舗に設置されている厨房機器を含めて居抜き購入する予定でした。

ところが契約前に、一部の設備が売主所有ではなく、リース会社の所有物であることが判明しました。

売主が自由に譲渡できる設備ではなかったのです。

買主は、必要な設備が譲渡対象から外れることを知り、購入を断念しました。

居抜き店舗では、

冷蔵庫。

製氷機。

食器洗浄機。

POSレジ。

空調。

などがリース契約になっている場合があります。

対策:売却募集前に、設備の所有権とリース契約の有無を確認すること。

譲渡できない設備は、最初から譲渡対象外として明示する必要があります。

事例29|売主と買主で残置物の認識が違っていた

売主は、店内の厨房機器や家具をすべて引き継ぐつもりでした。

一方、買主は不要な設備を撤去してもらえると思っていました。

契約直前になって認識の違いが発覚。

売主は、

「現状のまま引き渡す条件です」

と説明。

買主は、

「不要なものを撤去してもらえないなら購入できません」

と主張しました。

撤去費用の負担について折り合いがつかず、不成約となりました。

対策:譲渡対象設備と撤去対象設備を一覧にして、事前に合意すること。

写真付きの設備リストを作成すると、認識の違いを減らしやすくなります。

事例30|原状回復義務の取扱いで合意できなかった

売主は、居抜きで店舗を引き継いでもらえれば、原状回復費を負担しなくて済むと考えていました。

しかし、貸主との調整で問題が発生しました。

既存の賃貸借契約では、退去時にスケルトンへ戻す義務が定められていたのです。

新しい借主が造作を引き継ぐことについて、貸主から必要な承諾が得られず、売主の原状回復義務をどう扱うかがまとまりませんでした。

結果として居抜き売却は不成立。

売主は原状回復して退去することになりました。

ここで重要なのは、買主が造作を購入すると言っても、当然に売主の原状回復義務が消えるわけではないということです。

対策として、貸主の承諾内容、既存契約の終了条件、造作の取扱い、原状回復義務の免除・変更の有無を明確にしておく必要があります。

第9章|居抜き売却で最も避けたい「売却不成立+原状回復」

今回の30事例に共通するのは、居抜き売却が成立しなかった場合、売主に大きな費用負担が発生する可能性があるということです。

例えば、居抜き売却価格400万円で買主が見つかった店舗があったとします。

しかし契約直前に不成約となり、原状回復費300万円を支払って退去することになった場合。

単純比較では、

居抜き売却が成立した場合:+400万円

原状回復した場合:-300万円

経済的な差:最大700万円

となります。

※説明用の仮定です。実際の損益は仲介費用、リース残債、保証金精算、賃貸借条件などによって変動します。

さらに、売却交渉中にも家賃は発生します。

売却期間が長引けば、それだけ固定費の負担が増える可能性があります。

だからこそ、居抜き売却では単に高い価格で募集するだけでは不十分です。

確実に契約へ進められる買主を見極め、退去期限までに引渡しを完了させること。

これが非常に重要になります。

第10章|居抜き売却を成功させるための7つの確認事項

今回の30事例を踏まえ、居抜き売却を検討している方に確認していただきたいポイントを整理します。

① 大家・管理会社への事前確認

新しい借主を受け入れる意向があるか。

希望業態で営業できるか。

営業時間や設備工事に制限があるか。

家賃や保証金が変更されるか。

できるだけ早い段階で確認することが重要です。

② 買主の資金計画

造作代金だけでなく、保証金、前家賃、内装工事費、運転資金まで準備できるかを確認します。

融資を利用する場合は、審査の進捗や期限も重要です。

③ 保証会社・入居審査

造作を購入できても、新しい賃貸借契約が成立しなければ開業できません。

必要書類や審査期間を早めに確認しておきましょう。

④ 厨房設備・内装の状態

主要な設備が正常に使用できるか。

リース設備が含まれていないか。

雨漏りや漏水などの問題がないか。

把握している不具合は事前に伝えることが大切です。

⑤ 次の業態に必要な設備

焼肉店なら無煙ロースターや排気設備。

焼き鳥店なら煙や臭気への対応。

ラーメン店なら給排水、ガス、電気容量。

買主の希望業態に応じて確認すべき内容は変わります。

⑥ 契約と引渡しの日程

造作譲渡契約、賃貸借契約、代金決済、鍵の引渡しなど、関係者間で日程を共有します。

退去期限に間に合うかも重要です。

⑦ 売れなかった場合の原状回復

居抜き売却が成立しなかった場合、原状回復費はいくらかかるのか。

工事には何日必要なのか。

退去期限までに対応できるのか。

売却が成立するまで、原状回復のリスクは残るという認識が必要です。

第11章|「買主が決まった」ではなく「引渡しが終わった」がゴール

居抜き売却で、私たちが特に大切だと考えているのが、この考え方です。

買主が決まっただけでは、まだ売却成功ではありません。

価格に合意した。

申込書が提出された。

入居審査に通った。

造作譲渡契約を締結した。

それぞれ大切な段階ですが、契約内容によっては、その後も条件未成就や解除などの問題が生じることがあります。

最終的に、契約条件に従って代金決済と店舗の引渡しを終えることが重要です。

特に売主様は、買主が見つかると安心してしまいがちです。

しかし、そこから審査に時間がかかることもあります。

買主の資金計画が変わることもあります。

契約直前に条件交渉が入ることもあります。

だからこそ、最後まで慎重に進める必要があります。

第12章|不成約を防ぐには、早く動くことが何より重要

今回ご紹介した30事例の中には、事前の確認によって防げた可能性があるものもあります。

例えば、大家が認めない業態だと早く分かっていれば、別の買主を探すことができたかもしれません。

保証金が高額だと事前に分かっていれば、資金力のある買主へ募集対象を絞れたかもしれません。

設備の不具合を早く把握していれば、修理や価格調整を検討できたかもしれません。

しかし、どれだけ慎重に進めても、すべてのトラブルを防げるわけではありません。

買主の病気。

家族の反対。

融資否決。

突然のキャンセル。

予測できない事情もあります。

そのような場合に重要になるのが、時間的な余裕です。

退去期限まで3か月あるのか。

1か月しかないのか。

それによって、次の買主を探せる可能性は大きく変わります。

閉店を決めてから相談するのではなく、閉店を検討し始めた段階で居抜き売却の可能性を確認しておくことをおすすめします。

まとめ|居抜き売却の失敗30事例から学ぶこと

前編・後編を通じて、店舗・飲食店の居抜き売却が成立しなかった30のパターンをご紹介しました。

居抜き売却は、売主様にとって大きなメリットがある方法です。

原状回復費を削減できる。

厨房機器や内装を売却できる。

閉店時の経済的負担を減らせる可能性がある。

しかし、必ず売れるわけではありません。

買主が見つかっても売れないことがあります。

価格が合意しても売れないことがあります。

契約直前まで進んでも白紙になることがあります。

その結果、売主様が数百万円の原状回復費を支払うことになるケースもあります。

だからこそ、居抜き売却では、買主探しだけでなく、大家・管理会社との調整、入居審査、設備確認、契約条件、引渡しまで見据えた対応が重要です。

名古屋市で飲食店・店舗の売却を検討されている方は、原状回復工事を発注する前に、居抜き売却の可能性を確認してください。

「まだ営業中だけど売却できる?」

「解約通知を出す前に相談したい」

「買主が見つかったのに審査が進まない」

「原状回復費が高くて困っている」

このようなご相談にも対応しています。

成功事例だけでなく、不成約事例からも学び、少しでも多くの店舗を良い形で次の経営者へ引き継いでいきたいと考えています。

――閉店する店舗にも、まだ価値は残っています。
名古屋で飲食店を居抜きで売るなら【居抜きの達人】

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