2026.09.27
【不成約事例・失敗談】名古屋市中区栄4丁目の焼肉店|希望1,200万円で売れず最終300万円に。居抜き売却は最初の価格設定が重要【2026年最新版】|居抜きの達人(運営:(株)愛知不動産売却センター)
居抜き売却では、
「最初はいくらで募集するか」
が非常に重要です。
「どうせ値下げ交渉されるから、最初は高く出しておこう」
「開業したばかりだから、初期投資の大部分を回収したい」
「売れなければ後から少しずつ値下げすればいい」
このように考える店舗オーナー様は少なくありません。
しかし居抜き売却では、
高すぎる価格から募集を始めることで、逆に売却しにくくなってしまうことがあります。
今回ご紹介するのは、名古屋市中区栄4丁目にあった焼肉店の事例です。
開業からわずか1年2カ月。
焼肉店で7年間修業した店主が満を持して開業した店舗でした。
天井吊り下げ式の無煙ロースターを10台設置。
内装だけではなく、焼肉店として必要な設備や厨房機器にもかなりの初期投資をしていました。
店舗もまだ新しく、内装状態もきれい。
そのため店主様の売却希望価格は、
1,200万円。
一方、居抜きの達人が店舗を査定した価格は、
約400万円。
希望価格と査定価格には約800万円もの差がありました。
結果として1,200万円から募集を開始しましたが、なかなか買主が決まらず、約4カ月の間に何度も価格を下げることになりました。
そして最終的な売却価格は、
300万円。
店主様には約1,000万円の融資残高もあり、店舗売却後にも大きな負債が残る結果となりました。
今回の事例から居抜きの達人が改めて感じたのは、
居抜き売却は「最初の価格設定」が非常に重要
ということです。
今回の店舗概要
今回の店舗概要はこちらです。
所在地:名古屋市中区栄4丁目
業態:焼肉店
所在階:ビル2階
店舗面積:約20.5坪
営業期間:約1年2カ月
設備:天井吊り下げ式無煙ロースター10台
売主様希望価格:1,200万円
居抜きの達人査定額:約400万円
当初募集価格:1,200万円
募集期間:約4カ月
最終売却価格:300万円
売却時の融資残高:約1,000万円
今回は「まったく売れなかった」という事例ではありません。
最終的には300万円で居抜き売却できています。
しかし、
当初希望した1,200万円では成約せず、値下げを繰り返した末に300万円で成約した
という意味で、居抜き売却の価格設定について非常に参考になる失敗事例です。
7年間焼肉店で修業して独立
店主様は、思いつきで焼肉店を始めたわけではありません。
独立するまで、
約7年間、焼肉店で修業
していました。
焼肉店の仕事を覚え、経験を積み、自分の店を持つ。
長年目標にしていた独立だったと思います。
そして実際に店舗を作る際にも、
「せっかく自分の店を作るなら、きちんとした焼肉店を作りたい」
という思いがありました。
そのため内装だけではなく、焼肉店として重要な設備にもかなりの費用をかけています。
天井吊り下げ式の無煙ロースターを10台設置
今回の店舗には、
天井吊り下げ式の無煙ロースターが10台
設置されていました。
焼肉店は一般的な飲食店と比較して、設備工事にお金がかかりやすい業態の一つです。
ロースター。
排煙設備。
ダクト。
厨房設備。
給排水。
空調。
内装。
電気・ガス設備。
など、焼肉店として営業するためにはさまざまな設備が必要になります。
今回の店舗も、開業時にはかなりの初期投資がかかっていました。
しかも開業からまだ1年2カ月。
店内も比較的きれいな状態です。
売主様からすれば、
「これだけお金をかけた店を300万円、400万円では売りたくない」
という気持ちになるのも理解できます。
店主様の希望価格は1,200万円
そこで店主様から出た希望価格が、
1,200万円
でした。
開業から1年少々。
内装もきれい。
ロースターも10台。
厨房設備もある。
栄4丁目という立地。
そして開業時にかかった多額の費用。
これらを考え、
できるだけ初期投資を回収したい
という考えでした。
しかし、ここで非常に重要なのが、
「店を作るためにかかった金額」と「現在の居抜き市場で売れる金額」は別
ということです。
居抜きの達人の査定価格は約400万円
店舗を確認したうえで、居抜きの達人が査定した金額は、
約400万円
でした。
売主様の希望価格1,200万円とは、
約800万円の差
です。
当然、
「そんなに安いの?」
という感覚になると思います。
しかし居抜き査定では、
初期投資額だけを見て価格を決めません。
立地。
家賃。
階数。
店舗面積。
厨房設備。
ロースター。
ダクト。
内装状態。
設備年式。
他業態への転用性。
買主需要。
そして、
買主がこの店舗を取得するために実際いくらまで払えるか
を考えます。
「新しいから高く売れる」とは限らない
今回の店舗は開業1年2カ月です。
古い店舗ではありません。
むしろ居抜き店舗としては比較的新しく、内装状態も良好でした。
しかし、
新しい店舗=開業費用に近い価格で売れる
わけではありません。
例えば買主が、
「この店舗を1,200万円で買う」
とします。
買主が必要になる資金は、1,200万円だけではありません。
賃貸借契約に伴う保証金等。
仲介費用等。
必要な改装費。
仕入れ。
広告費。
求人費。
開業後の運転資金。
なども必要になります。
つまり買主は、
造作価格を含めた開業総額
で判断します。
売主側の、
「これだけお金をかけた」
という事情だけでは価格は決まらないのです。
焼肉店の設備は高い。しかし買主が評価する金額とは別
無煙ロースター10台をはじめ、焼肉店の設備には相当な費用がかかっています。
ここで起きやすい誤解があります。
「高価な設備がたくさんある=その設備費がそのまま造作価格になる」
という考え方です。
しかし中古設備としての価値。
その場所に設置された設備としての価値。
次の買主が実際に使う価値。
この3つは同じではありません。
例えば次の買主も焼肉店なら、ロースターや排煙設備をそのまま利用できることは大きなメリットになります。
しかし別業態なら、
「このロースターは不要」
となるかもしれません。
場合によっては撤去費用が必要になります。
つまり、
設備にいくらかかったかではなく、次の買主がその設備をどれだけ必要としているか
が重要なのです。
1,200万円で募集を開始
売主様のご希望もあり、
1,200万円で募集を開始
しました。
しかし、居抜きの達人の査定額は約400万円。
市場価格との乖離が大きい状態です。
当然ながら、思うように成約には至りませんでした。
そこで価格を下げます。
それでも決まらない。
さらに下げる。
それでも決まらない。
このように、
何度も価格を下げながら約4カ月間募集
することになりました。
「売れなければ後から値下げ」は本当に正しい?
店舗売却では、
「最初は高く出して、売れなかったら値下げすればいい」
と考える方がいます。
確かに、売却期間に十分な余裕がある場合には、市場の反応を確認しながら価格を調整する方法もあります。
しかし、
あまりにも市場価格から離れた価格で募集を始めることにはリスクがあります。
なぜなら、
店舗情報そのものが市場で古くなっていく
からです。
長期間ネット掲載されると「売れ残り」に見えることがある
買主候補は、一度しか物件情報を見ていないとは限りません。
店舗を探している人は、
毎日のように店舗情報を見ていることがあります。
最初に、
「1,200万円」
で掲載されている。
しばらくすると、
「980万円」
になっている。
さらに、
「780万円」
になっている。
またしばらくすると価格が下がっている。
この状態が続くと、
買主側から、
「ずっと掲載されている店舗だな」
「何か決まらない理由があるのでは?」
「まだ下がるんじゃないか?」
と思われる可能性があります。
もちろん長期掲載だから必ず売れなくなるわけではありません。
しかし、
新着物件として市場へ出た最初のタイミング
は非常に重要です。
最初のアプローチ価格が重要
居抜き売却では、新規掲載されたときに多くの買主候補の目に触れる可能性があります。
そのとき、
「この条件で400万円なら見てみたい」
となるのか。
「1,200万円なら自分には関係ない」
となるのか。
この差は大きいです。
一度、
「高すぎる店舗」
として検討対象から外された買主が、その後の値下げに必ず気付いて戻ってきてくれるとは限りません。
だからこそ、
最初の価格設定が大切
なのです。
最初から400万~500万円ならどうだったか
これはあくまで今回の売却活動を振り返ったうえでの見解であり、
400万円や500万円なら必ず成約していた
と言い切ることはできません。
しかし居抜きの達人としては、
今回の店舗について、
最初から400万円~500万円程度の価格帯で市場へ出せていれば、より早い段階で成約できた可能性があった
と考えています。
なぜなら、店舗そのものが悪かったわけではないからです。
栄4丁目。
約20.5坪。
開業1年2カ月。
比較的新しい内装。
焼肉店設備。
無煙ロースター10台。
焼肉店を開業したい人にとって、検討材料になる条件はありました。
問題は、
最初の1,200万円という価格とのバランス
でした。
最終的な売却価格は300万円
約4カ月募集。
その間に何度も価格を変更。
そして最終的には、
300万円で売却
することになりました。
ここが今回の事例で最も考えていただきたい部分です。
当初、
1,200万円で売りたい。
居抜きの達人の査定は、
約400万円。
最終的な成約価格は、
300万円。
結果だけを見ると、
最初の査定価格よりも低い金額で売却
することになりました。
なぜ価格を下げたのに売れにくくなることがある?
「最初1,200万円だったものが500万円になったなら、すごく安く見えるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし実際の買主心理は必ずしもそう単純ではありません。
長期間売れていない。
何度も価格が下がっている。
そうすると、
「まだ下がるのでは?」
「急いで買わなくてもいいのでは?」
「売れない別の理由があるのでは?」
という見方をされる可能性があります。
つまり、
値下げすればするほど買主が急いでくれるとは限らない
のです。
これが居抜き売却の難しいところです。
「新着」のタイミングを無駄にしない
居抜き売却では、
募集開始直後
が重要です。
まだ多くの人が見たことのない店舗。
新しく出てきた物件。
条件の良い新着店舗。
として注目してもらえるタイミングだからです。
この一番新鮮な時期に、
市場から大きく離れた価格を設定してしまう。
すると、
せっかく興味を持つ可能性があった買主から、
「高いから無理」
と最初から外されてしまうことがあります。
そのため居抜きの達人では、
最初から絶対に安く出すべき
とは考えていません。
しかし、
市場価格から大きく乖離した価格でスタートすることにも大きなリスクがある
と考えています。
融資が約1,000万円残っていた
今回、店主様にとってさらに厳しかったのが、
約1,000万円の融資残高
です。
最終的な居抜き売却価格は300万円。
当然ながら、
店舗を300万円で売却したからといって、残っている融資がなくなるわけではありません。
結果として店主様には大きな負債が残ることになりました。
長年焼肉店で修業して、自分の店を持つ。
多額の資金を投じて、設備にもこだわる。
それでも事業が計画どおりにいかなければ、撤退時に大きな負担が残ることがあります。
飲食店経営の厳しさを感じる事例でもあります。
借金が1,000万円あるから1,000万円で売れるわけではない
これも非常に重要です。
「借入金が1,000万円残っているから、最低でも1,000万円で売りたい」
という希望があったとしても、
残債額と居抜き店舗の市場価値は別のもの
です。
売主側に、
借金がいくら残っているのか。
開業費用をいくら回収したいのか。
という事情があっても、買主が支払う価格はその事情だけでは決まりません。
厳しい話ですが、
買主は売主の借金を返済するために造作を買うわけではありません。
買主が考えるのは、
「この店舗にいくらの価値があるか」
です。
だからこそ開業するときには、
撤退した場合に設備や内装が投資額に近い金額で売れるとは限らない
ことも考えておく必要があります。
高い査定価格を出す会社が良い会社とは限らない
居抜き査定を複数社へ依頼すると、
査定価格が違うことがあります。
300万円。
500万円。
800万円。
1,000万円。
もしこのように提示されたら、
一番高い1,000万円と言ってくれた会社にお願いしたくなるかもしれません。
しかし重要なのは、
「なぜその価格なのか」
です。
高い数字を提示するだけなら簡単です。
本当にその価格で買主候補がいるのか。
似た条件の店舗ではどの程度なのか。
立地はどう評価しているのか。
設備はどうなのか。
家賃とのバランスはどうなのか。
どの業態へ売るのか。
どれくらいの期間を想定しているのか。
こうした査定根拠を確認することが重要です。
居抜き査定と売主希望価格は違う
居抜きの達人では、
査定価格と希望価格を分けて考えています。
売主様が、
「1,200万円で売りたい」
と思うこと自体は問題ありません。
それが希望価格です。
しかし、
市場から見た場合、
「この条件なら400万円前後ではないか」
というのが査定です。
希望価格を否定するための査定ではありません。
現在の市場でどの程度なら買主が検討しやすいかを考えるための数字
です。
この2つを混同すると、
「自分は1,200万円欲しいから、この店の価値は1,200万円」
となってしまいます。
高く売ることと、適正価格で売ること
居抜きの達人も、
できるだけ高く売却すること
を目指します。
400万円で売れる可能性がある店舗を、最初から200万円で売る必要はありません。
しかし、
400万円前後が一つの目安と考えられる店舗を1,200万円で募集し続けることが、必ず売主様の利益になるとも限りません。
高く売るためには、
高い値札を付けることではなく、その店舗の価値を正しく評価して、その価値を買主に伝えること
が重要です。
今回の失敗事例から学べる6つのポイント
今回の栄4丁目の焼肉店から学べることを整理します。
① 開業費用=居抜き価格ではない
多額の設備投資をしても、その金額がそのまま中古店舗の価格になるわけではありません。
② 新しい店舗=高額売却とは限らない
開業1年2カ月でも、価格が市場と合わなければ売却は難しくなります。
③ 焼肉設備が高価でも買主需要が重要
ロースターや排煙設備などは価値がありますが、買主がその設備を必要として初めて価値につながります。
④ 最初の募集価格が重要
新着として注目される最初のタイミングを大切にします。
⑤ 長期間の掲載には注意する
長期間掲載され、何度も価格が下がると、買主から売れ残りの印象を持たれる可能性があります。
⑥ 残っている借入金と店舗価値は別
残債額を基準に売却価格を決めても、市場がその価格を受け入れるとは限りません。
最初から適正価格で売ることが結果的に高く売ることもある
今回の事例では、
1,200万円。
そこから何度も値下げ。
約4カ月募集。
そして300万円で成約。
という結果になりました。
もし最初から400万円~500万円程度で募集できていたら、より早い段階で買主候補から具体的な検討を受けられた可能性があります。
そして結果的に、
300万円より良い条件で売却できた可能性も否定できません。
もちろん、これは結果を見たうえでの振り返りであり、400万円や500万円なら必ず売れたという意味ではありません。
それでも今回の経験から、
「最初のアプローチ価格は非常に大切」
ということを改めて感じました。
居抜き売却は「最初だけ高く」が正解とは限らない
店舗オーナー様にとって、自分のお店には思い入れがあります。
お金もかかっています。
時間もかかっています。
苦労もしています。
だから、
「少しでも高く売りたい」
と思うのは当然です。
しかし買主は、その思い入れに価格を付けるわけではありません。
立地。
家賃。
設備。
内装。
厨房。
業態。
改装費。
出店総額。
などを見て判断します。
だからこそ、
売主の希望と買主の評価が交わる価格
を探すことが重要なのです。
成約価格だけでは見えない「失敗」もある
今回の店舗は最終的には300万円で売却できました。
そのため、
「300万円で成約した成功事例」
と紹介することもできます。
しかし居抜きの達人では、そうは考えていません。
当初の査定は約400万円。
希望価格は1,200万円。
4カ月間値下げを繰り返し、最終300万円。
この過程まで見れば、
最初の価格設定について反省すべき点があった事例
です。
成約したかどうかだけではなく、
もっと良い売り方ができなかったか
まで振り返ることが大切だと考えています。
名古屋で居抜き店舗の価格に迷ったら「居抜きの達人」
居抜きの達人では、名古屋市を中心に愛知県全域で飲食店・店舗の居抜き売却、造作譲渡をご相談いただけます。
「開業したばかりだけど売却したい。」
「内装に1,000万円以上かけた。」
「焼肉設備にかなりお金がかかっている。」
「融資が残っているので高く売りたい。」
「他社から高い査定を出された。」
「何カ月もネット掲載しているけど決まらない。」
「何度も値下げしている。」
このような場合もご相談ください。
居抜き売却で重要なのは、
一番高い査定額を聞くことではありません。
本当にその価格で買主が検討するのか。
どの業態へ売るのか。
どのくらいの期間で売るのか。
売れなかった場合はどうするのか。
そこまで考えて募集価格を決めることが重要です。
今回の栄4丁目の焼肉店は、
開業1年2カ月。
約20.5坪。
無煙ロースター10台。
きれいな内装。
決して悪い店舗ではありませんでした。
しかし、
希望価格1,200万円に対して査定額約400万円。
その大きな乖離から売却が長期化し、何度も価格を下げた結果、
最終売却価格は300万円
となりました。
この経験から居抜きの達人が伝えたいことは一つです。
居抜き売却は、最初の価格設定が非常に重要です。
高すぎれば時間を失う。
安すぎれば本来得られた売却代金を失う。
だから、
高すぎず、安すぎず、買主が「見てみたい」と思える価格から市場へ出す。
それが結果的に、早く、そして良い条件で売却することにつながる場合があります。
「最初はいくらで募集するか」
が非常に重要です。
「どうせ値下げ交渉されるから、最初は高く出しておこう」
「開業したばかりだから、初期投資の大部分を回収したい」
「売れなければ後から少しずつ値下げすればいい」
このように考える店舗オーナー様は少なくありません。
しかし居抜き売却では、
高すぎる価格から募集を始めることで、逆に売却しにくくなってしまうことがあります。
今回ご紹介するのは、名古屋市中区栄4丁目にあった焼肉店の事例です。
開業からわずか1年2カ月。
焼肉店で7年間修業した店主が満を持して開業した店舗でした。
天井吊り下げ式の無煙ロースターを10台設置。
内装だけではなく、焼肉店として必要な設備や厨房機器にもかなりの初期投資をしていました。
店舗もまだ新しく、内装状態もきれい。
そのため店主様の売却希望価格は、
1,200万円。
一方、居抜きの達人が店舗を査定した価格は、
約400万円。
希望価格と査定価格には約800万円もの差がありました。
結果として1,200万円から募集を開始しましたが、なかなか買主が決まらず、約4カ月の間に何度も価格を下げることになりました。
そして最終的な売却価格は、
300万円。
店主様には約1,000万円の融資残高もあり、店舗売却後にも大きな負債が残る結果となりました。
今回の事例から居抜きの達人が改めて感じたのは、
居抜き売却は「最初の価格設定」が非常に重要
ということです。
今回の店舗概要
今回の店舗概要はこちらです。
所在地:名古屋市中区栄4丁目
業態:焼肉店
所在階:ビル2階
店舗面積:約20.5坪
営業期間:約1年2カ月
設備:天井吊り下げ式無煙ロースター10台
売主様希望価格:1,200万円
居抜きの達人査定額:約400万円
当初募集価格:1,200万円
募集期間:約4カ月
最終売却価格:300万円
売却時の融資残高:約1,000万円
今回は「まったく売れなかった」という事例ではありません。
最終的には300万円で居抜き売却できています。
しかし、
当初希望した1,200万円では成約せず、値下げを繰り返した末に300万円で成約した
という意味で、居抜き売却の価格設定について非常に参考になる失敗事例です。
7年間焼肉店で修業して独立
店主様は、思いつきで焼肉店を始めたわけではありません。
独立するまで、
約7年間、焼肉店で修業
していました。
焼肉店の仕事を覚え、経験を積み、自分の店を持つ。
長年目標にしていた独立だったと思います。
そして実際に店舗を作る際にも、
「せっかく自分の店を作るなら、きちんとした焼肉店を作りたい」
という思いがありました。
そのため内装だけではなく、焼肉店として重要な設備にもかなりの費用をかけています。
天井吊り下げ式の無煙ロースターを10台設置
今回の店舗には、
天井吊り下げ式の無煙ロースターが10台
設置されていました。
焼肉店は一般的な飲食店と比較して、設備工事にお金がかかりやすい業態の一つです。
ロースター。
排煙設備。
ダクト。
厨房設備。
給排水。
空調。
内装。
電気・ガス設備。
など、焼肉店として営業するためにはさまざまな設備が必要になります。
今回の店舗も、開業時にはかなりの初期投資がかかっていました。
しかも開業からまだ1年2カ月。
店内も比較的きれいな状態です。
売主様からすれば、
「これだけお金をかけた店を300万円、400万円では売りたくない」
という気持ちになるのも理解できます。
店主様の希望価格は1,200万円
そこで店主様から出た希望価格が、
1,200万円
でした。
開業から1年少々。
内装もきれい。
ロースターも10台。
厨房設備もある。
栄4丁目という立地。
そして開業時にかかった多額の費用。
これらを考え、
できるだけ初期投資を回収したい
という考えでした。
しかし、ここで非常に重要なのが、
「店を作るためにかかった金額」と「現在の居抜き市場で売れる金額」は別
ということです。
居抜きの達人の査定価格は約400万円
店舗を確認したうえで、居抜きの達人が査定した金額は、
約400万円
でした。
売主様の希望価格1,200万円とは、
約800万円の差
です。
当然、
「そんなに安いの?」
という感覚になると思います。
しかし居抜き査定では、
初期投資額だけを見て価格を決めません。
立地。
家賃。
階数。
店舗面積。
厨房設備。
ロースター。
ダクト。
内装状態。
設備年式。
他業態への転用性。
買主需要。
そして、
買主がこの店舗を取得するために実際いくらまで払えるか
を考えます。
「新しいから高く売れる」とは限らない
今回の店舗は開業1年2カ月です。
古い店舗ではありません。
むしろ居抜き店舗としては比較的新しく、内装状態も良好でした。
しかし、
新しい店舗=開業費用に近い価格で売れる
わけではありません。
例えば買主が、
「この店舗を1,200万円で買う」
とします。
買主が必要になる資金は、1,200万円だけではありません。
賃貸借契約に伴う保証金等。
仲介費用等。
必要な改装費。
仕入れ。
広告費。
求人費。
開業後の運転資金。
なども必要になります。
つまり買主は、
造作価格を含めた開業総額
で判断します。
売主側の、
「これだけお金をかけた」
という事情だけでは価格は決まらないのです。
焼肉店の設備は高い。しかし買主が評価する金額とは別
無煙ロースター10台をはじめ、焼肉店の設備には相当な費用がかかっています。
ここで起きやすい誤解があります。
「高価な設備がたくさんある=その設備費がそのまま造作価格になる」
という考え方です。
しかし中古設備としての価値。
その場所に設置された設備としての価値。
次の買主が実際に使う価値。
この3つは同じではありません。
例えば次の買主も焼肉店なら、ロースターや排煙設備をそのまま利用できることは大きなメリットになります。
しかし別業態なら、
「このロースターは不要」
となるかもしれません。
場合によっては撤去費用が必要になります。
つまり、
設備にいくらかかったかではなく、次の買主がその設備をどれだけ必要としているか
が重要なのです。
1,200万円で募集を開始
売主様のご希望もあり、
1,200万円で募集を開始
しました。
しかし、居抜きの達人の査定額は約400万円。
市場価格との乖離が大きい状態です。
当然ながら、思うように成約には至りませんでした。
そこで価格を下げます。
それでも決まらない。
さらに下げる。
それでも決まらない。
このように、
何度も価格を下げながら約4カ月間募集
することになりました。
「売れなければ後から値下げ」は本当に正しい?
店舗売却では、
「最初は高く出して、売れなかったら値下げすればいい」
と考える方がいます。
確かに、売却期間に十分な余裕がある場合には、市場の反応を確認しながら価格を調整する方法もあります。
しかし、
あまりにも市場価格から離れた価格で募集を始めることにはリスクがあります。
なぜなら、
店舗情報そのものが市場で古くなっていく
からです。
長期間ネット掲載されると「売れ残り」に見えることがある
買主候補は、一度しか物件情報を見ていないとは限りません。
店舗を探している人は、
毎日のように店舗情報を見ていることがあります。
最初に、
「1,200万円」
で掲載されている。
しばらくすると、
「980万円」
になっている。
さらに、
「780万円」
になっている。
またしばらくすると価格が下がっている。
この状態が続くと、
買主側から、
「ずっと掲載されている店舗だな」
「何か決まらない理由があるのでは?」
「まだ下がるんじゃないか?」
と思われる可能性があります。
もちろん長期掲載だから必ず売れなくなるわけではありません。
しかし、
新着物件として市場へ出た最初のタイミング
は非常に重要です。
最初のアプローチ価格が重要
居抜き売却では、新規掲載されたときに多くの買主候補の目に触れる可能性があります。
そのとき、
「この条件で400万円なら見てみたい」
となるのか。
「1,200万円なら自分には関係ない」
となるのか。
この差は大きいです。
一度、
「高すぎる店舗」
として検討対象から外された買主が、その後の値下げに必ず気付いて戻ってきてくれるとは限りません。
だからこそ、
最初の価格設定が大切
なのです。
最初から400万~500万円ならどうだったか
これはあくまで今回の売却活動を振り返ったうえでの見解であり、
400万円や500万円なら必ず成約していた
と言い切ることはできません。
しかし居抜きの達人としては、
今回の店舗について、
最初から400万円~500万円程度の価格帯で市場へ出せていれば、より早い段階で成約できた可能性があった
と考えています。
なぜなら、店舗そのものが悪かったわけではないからです。
栄4丁目。
約20.5坪。
開業1年2カ月。
比較的新しい内装。
焼肉店設備。
無煙ロースター10台。
焼肉店を開業したい人にとって、検討材料になる条件はありました。
問題は、
最初の1,200万円という価格とのバランス
でした。
最終的な売却価格は300万円
約4カ月募集。
その間に何度も価格を変更。
そして最終的には、
300万円で売却
することになりました。
ここが今回の事例で最も考えていただきたい部分です。
当初、
1,200万円で売りたい。
居抜きの達人の査定は、
約400万円。
最終的な成約価格は、
300万円。
結果だけを見ると、
最初の査定価格よりも低い金額で売却
することになりました。
なぜ価格を下げたのに売れにくくなることがある?
「最初1,200万円だったものが500万円になったなら、すごく安く見えるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし実際の買主心理は必ずしもそう単純ではありません。
長期間売れていない。
何度も価格が下がっている。
そうすると、
「まだ下がるのでは?」
「急いで買わなくてもいいのでは?」
「売れない別の理由があるのでは?」
という見方をされる可能性があります。
つまり、
値下げすればするほど買主が急いでくれるとは限らない
のです。
これが居抜き売却の難しいところです。
「新着」のタイミングを無駄にしない
居抜き売却では、
募集開始直後
が重要です。
まだ多くの人が見たことのない店舗。
新しく出てきた物件。
条件の良い新着店舗。
として注目してもらえるタイミングだからです。
この一番新鮮な時期に、
市場から大きく離れた価格を設定してしまう。
すると、
せっかく興味を持つ可能性があった買主から、
「高いから無理」
と最初から外されてしまうことがあります。
そのため居抜きの達人では、
最初から絶対に安く出すべき
とは考えていません。
しかし、
市場価格から大きく乖離した価格でスタートすることにも大きなリスクがある
と考えています。
融資が約1,000万円残っていた
今回、店主様にとってさらに厳しかったのが、
約1,000万円の融資残高
です。
最終的な居抜き売却価格は300万円。
当然ながら、
店舗を300万円で売却したからといって、残っている融資がなくなるわけではありません。
結果として店主様には大きな負債が残ることになりました。
長年焼肉店で修業して、自分の店を持つ。
多額の資金を投じて、設備にもこだわる。
それでも事業が計画どおりにいかなければ、撤退時に大きな負担が残ることがあります。
飲食店経営の厳しさを感じる事例でもあります。
借金が1,000万円あるから1,000万円で売れるわけではない
これも非常に重要です。
「借入金が1,000万円残っているから、最低でも1,000万円で売りたい」
という希望があったとしても、
残債額と居抜き店舗の市場価値は別のもの
です。
売主側に、
借金がいくら残っているのか。
開業費用をいくら回収したいのか。
という事情があっても、買主が支払う価格はその事情だけでは決まりません。
厳しい話ですが、
買主は売主の借金を返済するために造作を買うわけではありません。
買主が考えるのは、
「この店舗にいくらの価値があるか」
です。
だからこそ開業するときには、
撤退した場合に設備や内装が投資額に近い金額で売れるとは限らない
ことも考えておく必要があります。
高い査定価格を出す会社が良い会社とは限らない
居抜き査定を複数社へ依頼すると、
査定価格が違うことがあります。
300万円。
500万円。
800万円。
1,000万円。
もしこのように提示されたら、
一番高い1,000万円と言ってくれた会社にお願いしたくなるかもしれません。
しかし重要なのは、
「なぜその価格なのか」
です。
高い数字を提示するだけなら簡単です。
本当にその価格で買主候補がいるのか。
似た条件の店舗ではどの程度なのか。
立地はどう評価しているのか。
設備はどうなのか。
家賃とのバランスはどうなのか。
どの業態へ売るのか。
どれくらいの期間を想定しているのか。
こうした査定根拠を確認することが重要です。
居抜き査定と売主希望価格は違う
居抜きの達人では、
査定価格と希望価格を分けて考えています。
売主様が、
「1,200万円で売りたい」
と思うこと自体は問題ありません。
それが希望価格です。
しかし、
市場から見た場合、
「この条件なら400万円前後ではないか」
というのが査定です。
希望価格を否定するための査定ではありません。
現在の市場でどの程度なら買主が検討しやすいかを考えるための数字
です。
この2つを混同すると、
「自分は1,200万円欲しいから、この店の価値は1,200万円」
となってしまいます。
高く売ることと、適正価格で売ること
居抜きの達人も、
できるだけ高く売却すること
を目指します。
400万円で売れる可能性がある店舗を、最初から200万円で売る必要はありません。
しかし、
400万円前後が一つの目安と考えられる店舗を1,200万円で募集し続けることが、必ず売主様の利益になるとも限りません。
高く売るためには、
高い値札を付けることではなく、その店舗の価値を正しく評価して、その価値を買主に伝えること
が重要です。
今回の失敗事例から学べる6つのポイント
今回の栄4丁目の焼肉店から学べることを整理します。
① 開業費用=居抜き価格ではない
多額の設備投資をしても、その金額がそのまま中古店舗の価格になるわけではありません。
② 新しい店舗=高額売却とは限らない
開業1年2カ月でも、価格が市場と合わなければ売却は難しくなります。
③ 焼肉設備が高価でも買主需要が重要
ロースターや排煙設備などは価値がありますが、買主がその設備を必要として初めて価値につながります。
④ 最初の募集価格が重要
新着として注目される最初のタイミングを大切にします。
⑤ 長期間の掲載には注意する
長期間掲載され、何度も価格が下がると、買主から売れ残りの印象を持たれる可能性があります。
⑥ 残っている借入金と店舗価値は別
残債額を基準に売却価格を決めても、市場がその価格を受け入れるとは限りません。
最初から適正価格で売ることが結果的に高く売ることもある
今回の事例では、
1,200万円。
そこから何度も値下げ。
約4カ月募集。
そして300万円で成約。
という結果になりました。
もし最初から400万円~500万円程度で募集できていたら、より早い段階で買主候補から具体的な検討を受けられた可能性があります。
そして結果的に、
300万円より良い条件で売却できた可能性も否定できません。
もちろん、これは結果を見たうえでの振り返りであり、400万円や500万円なら必ず売れたという意味ではありません。
それでも今回の経験から、
「最初のアプローチ価格は非常に大切」
ということを改めて感じました。
居抜き売却は「最初だけ高く」が正解とは限らない
店舗オーナー様にとって、自分のお店には思い入れがあります。
お金もかかっています。
時間もかかっています。
苦労もしています。
だから、
「少しでも高く売りたい」
と思うのは当然です。
しかし買主は、その思い入れに価格を付けるわけではありません。
立地。
家賃。
設備。
内装。
厨房。
業態。
改装費。
出店総額。
などを見て判断します。
だからこそ、
売主の希望と買主の評価が交わる価格
を探すことが重要なのです。
成約価格だけでは見えない「失敗」もある
今回の店舗は最終的には300万円で売却できました。
そのため、
「300万円で成約した成功事例」
と紹介することもできます。
しかし居抜きの達人では、そうは考えていません。
当初の査定は約400万円。
希望価格は1,200万円。
4カ月間値下げを繰り返し、最終300万円。
この過程まで見れば、
最初の価格設定について反省すべき点があった事例
です。
成約したかどうかだけではなく、
もっと良い売り方ができなかったか
まで振り返ることが大切だと考えています。
名古屋で居抜き店舗の価格に迷ったら「居抜きの達人」
居抜きの達人では、名古屋市を中心に愛知県全域で飲食店・店舗の居抜き売却、造作譲渡をご相談いただけます。
「開業したばかりだけど売却したい。」
「内装に1,000万円以上かけた。」
「焼肉設備にかなりお金がかかっている。」
「融資が残っているので高く売りたい。」
「他社から高い査定を出された。」
「何カ月もネット掲載しているけど決まらない。」
「何度も値下げしている。」
このような場合もご相談ください。
居抜き売却で重要なのは、
一番高い査定額を聞くことではありません。
本当にその価格で買主が検討するのか。
どの業態へ売るのか。
どのくらいの期間で売るのか。
売れなかった場合はどうするのか。
そこまで考えて募集価格を決めることが重要です。
今回の栄4丁目の焼肉店は、
開業1年2カ月。
約20.5坪。
無煙ロースター10台。
きれいな内装。
決して悪い店舗ではありませんでした。
しかし、
希望価格1,200万円に対して査定額約400万円。
その大きな乖離から売却が長期化し、何度も価格を下げた結果、
最終売却価格は300万円
となりました。
この経験から居抜きの達人が伝えたいことは一つです。
居抜き売却は、最初の価格設定が非常に重要です。
高すぎれば時間を失う。
安すぎれば本来得られた売却代金を失う。
だから、
高すぎず、安すぎず、買主が「見てみたい」と思える価格から市場へ出す。
それが結果的に、早く、そして良い条件で売却することにつながる場合があります。
――閉店する店舗にも、まだ価値は残っています。
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